先日、国産の電動バイクの写真がふと目に入りました。昔夢見た未来が現実になったような感じを受けましたのでちょっとまとめてみます。

金田のバイク

コミック・映画「アキラ」に登場した主人公金田が乗るバイク。斬新なデザインでその後の様々なSF作品だけでなく、実際の工業デザインにも影響を与えました。

もう一人の主人公とも言える登場人物、島鉄雄のセリフ「セラミックローターの両輪駆動」「電子制御のアンチロックブレーキ」「1万2千回転の200馬力」というセリフを覚えている方も多いと思います。設定ではこんな性能でした。(wikiprdiaより)

金田のバイク
全長 2947mm
全高 1171mm
全幅 831mm
最高速度 243km/h
発電形式 常温超伝導発電機
最高発電量 83.0kW
エンジン回転数 12500rpm

現実の世界では、映画公開後様々なレプリカバイクが製作されてきましたが、ガソリンエンジンを搭載した設定よりも少し小ぶりなモノが多かった様に思います。

zecOO

2000年代まではそんな感じだったのですが、先日こんな記事を見かけました。(AKIRAの世界、ついに実現? 「金田のバイク」を彷彿とさせるzecOOが販売開始)

一部小型や中型の電動バイクが市場で販売されていたものの、遂にここまで本格的な電動バイクが市販車として発売になるようです。

すべてカスタムハンドメイドで全世界49台の限定生産、販売価格は888万円とあります。HPによる性能は以下の通り。

zecOO
全長 2450 mm
全高 1160 mm
全幅 800mm
最高速度 160km/h
発電形式 Z-フォース®モータ
最高発電量 50kW
エンジン回転数 144 Nm

恐ろしい程映画の設定の性能に近づいてきているのが分かりました。※エンジンの回転数の単位が異なりますがそのまま表記しました。目安としては現状世界最速といわれる大型スポーツバイクカワサキ・ZX14-Rのエンジンが最大出力147.2kW(200PS)/10,000rpm、最大トルク162.5Nm(16.6kgf・m)/7,500rpmとあります。(劇中のセリフになぞらえれば「1万回転の200馬力」ってとこでしょうか)

詳しいことは分からないのですが、最高峰のガソリンエンジンに迫る性能を電動エンジンが持ち始めているのが分かります。そう言えば、劇中で金田がこんなセリフを言っていました。

「ピーキーすぎて、お前にゃ無理だよ。」

金田が自分でチューンナップした。ということを差し引くともう現実が昔夢見た未来に追いついているのかもしれません。

と、いうか超えていた。

こちらの記事を見て驚いたのですが(世界最速346km/hの電動スーパーバイクが市販化! - ウェビック ニュース)今やオートバイの世界最高速度はガソリンエンジンのではなくて、電動エンジンで記録されているそうです。

最大出力が上記のカワサキ・ZX14-Rの4割増。と言うことです。劇中のセリフになぞらえると「1万回転の280馬力」(?)位なのでしょうか。まあ、いずれにせよ「そんなバイク乗ってるやつの気がしれねーよ」ってレベルのことだけは確かなようです。

とはいえ、これらは水冷式のモーターです。リニアモーターカーで使われるような、常温超伝導(超電導)モーターはさすがに現実には…。

超電導モーター

…いつの間にかもう実現化されていました。乗用車へ搭載した走行試験が成功しており、2020年の市場販売を目指して開発中ということです。(住友電気工業株式会社|超電導Webサイト 超電導モータ 自動車用)

すごいぞ住友電工。

まとめ

ちょっと気になって調べてみたらここ数年の技術の進化は目覚ましいものだということが分かりました。

人間は、頭で考え付くことは大抵実現出来る。と言いますが…30年以上前にこれだけ現実感のある設定を考えた大友克洋先生の凄さも垣間見えます。

2019年、オリンピック開催前の東京では超伝導のセラミックローターのバイクが実際に走っているかもしれませんね。